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おつきさま
朝晩ずいぶん肌寒くなってきました。
空気がピンとはって、背筋が伸びるような気持ちのよい季節です。
夕方子どもを迎えに行く時間、自転車をこいでいる間にあっという間に日が暮れて真っ暗になります。
一日の終わりが近づいていること、そして、一年の終わりが近づいていることを感じながら、ちょっと寂しいような何やらしんみりした気分で足早に自転車をこぎます。
この時期お月さまが本当にきれいに見えます。
保育園からの帰り道、子どもと毎日お月さまを探して「今日もお月さまいるね」と話ながら帰ってきます。
まんまるで黄色いお月さまの様子を子どももしっかり見ていて、昨日より大きい(満ちてきている)ことに気づいて教えてくれたり、雲に隠れたり出たりする様子をみたりしながら自転車をこぐ子どもとの2人の時間が好きです。
「なんで暗くなるの?なんで夜になるの?」
夕方の散歩のとき、もう真っ暗になった道を歩きながら子どもに聞かれました。
「なんでだろうね。暗くなって夜がきて。寝んねしたら、また新しい朝がくるんだよ」と私はこたえていました。
「なぜ夜になる」という質問・・・
もっともっと遊んでいたいのに、どうして終わりがくるのか。
楽しい時間が続けばいいのに、いつまでも。
そう、一日も、一年も、一生も同じ。
直感的に子どもはいろんなことを感じているのではないかと思います。
なんだか寂しくてしんみりした秋の夜。
ある人が私に「離れていても同じ月を見ていると思うと温かい気持ちになる」と言ってくれました。その方は、病のために程なくして亡くなられました。
けれど、私は月をみるとその方のことを今でも思い出します。
同じ月をみている。
さみしいね、でも怖くないよ大丈夫。今こうやって手をつないでお散歩してるから。
一緒に寝んねしたら、また楽しい時間がやってきてくれるから。
そう想いながら、子どもと一緒にお月さまを見ながら家路につきました。
今日は、私と息子が好きなお月様の絵本を紹介したいと思います。
お月様の絵本
『パパおつきさまとって』
『はらぺこあおむし』の著者エリックカールの作品です。
美しい色合いとコラージュのような絵柄が独特の雰囲気をもった絵本です。
遠くにあるお月さま。月まで届くはしごがどんどんと伸びていく・・・
最初に読んだときは、えっこんなページが?と驚きました。楽しい仕掛けが付いています。
冒険するようなワクワク感があるので、ぜひこの絵本はお父さんと一緒に読んで見てほしいお月さまの絵本です。
『ぼく、おつきさまがほしいんだ』
文:ジョナサン・エメット 絵:ヴァネッサ・キャバン 訳:おびかゆうこ 徳間書店
- 作者: ジョナサンエメット,ヴァネッサキャバン,Jonathan Emmett,Vanessa Cabban,おびかゆうこ
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2002/09
- メディア: 大型本
- 購入: 1人 クリック: 3回
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小さなもぐらさんが、初めてお月さまを見て、「なんて綺麗なんだろう、あのキラキラがほしいなぁ」とお月さまを取ろうと頑張ります。
優しいタッチの絵柄で、お月さまの「キラキラ」した美しさが伝わってくるようです。
お月さまが水たまりに落ちてバラバラになって消えてしまったと思い悲しむもぐらさんに、お友達が大丈夫だよと集まって来てくれます。
「お月さまって、すごーく遠くにあるんだね」
遠くて近い、近くて遠いから見ていて安心感があるのかもしれません。
他にも、以前紹介した『おやすみなさいおつきさま』も、寝る前にオススメの静かなおつきさまの絵本です。
大人が味わえるお月様の絵本
『ながいよるのお月さま 』
作:シンシア・ライラント 、マークシーゲル 訳:渡辺葉 講談社
- 作者: シンシアライラント,マークシーゲル,Cynthia Rylant,Mark Siegel,渡辺葉
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/01/19
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 6回
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わたしの大好きなお月様の絵本です。
「昔々、人々は空に浮かぶお月様に名前をつけた。1年12ヶ月。それぞれのつきにそれぞれの満月。ひとつひとつの満月に名前をつけた。」
ネイティブアメリカンが満月につけた12の美しいお月様の名前が出てきます。
12月は、ながい夜のおつきさま。
朝が来るのを待ち続ける。待って 待って 待ち続ける。
じっと信じて待ち続ける。
1ヶ月ごとのお月様の名前。
それぞれの月の名前は、詩の世界のようです。
人と自然が一つの世界の中に生きていること。
暦というものがもつ、静かな語りの世界が絵本の中に詰まっています。
「たちどまって そらを みあげて みませんか?」
絵本が語りかけてきます。
『おつきさま』
作:やしすえこ、葉祥明 フレーベル館
女の子、猫やネズミ、船乗りさんや駅員さん・・・
それぞれの場所から、それぞれの想いを込めながらお月様を眺めている。
家の窓から、お月様を眺めている女の子。
お友達の怪我が治りますようにとお月様にお祈りする男の子。
自分は元気だよと、離れて暮らすこどもたちへのメッセージをお月様に託すお父さん。
それぞれの想いが、お月様を通して、大切な人に繋がっていく。
静かで大きくて、綺麗なまあるいお月様のお話です。
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